COBRA Trialの臨床研究法施行(2018年4月1日)後の対応について

臨床研究法は、臨床研究の実施の手続、認定臨床研究審査委員会による審査意見業務の適切な実施のための措置、臨床研究に関する資金等の提供に関する情報の公表の制度等を定めることにより、臨床研究の対象者をはじめとする国民の臨床研究に対する信頼の確保を図ることを通じてその実施を推進し、もって保健衛生の向上に寄与することを目的として施行されました(厚生労働省普及促進資材リーフレット2018年03月28日より)。

臨床研究法の実施に関する手続きは、

1. 臨床研究の実施に関する手続
(1)特定臨床研究(※)の実施に係る措置
①以下の特定臨床研究を実施する者に対して、モニタリング・監査の実施、利益相反の管理等の実施基準の遵守及びインフォームド・コンセントの取得、個人情報の保護、記録の保存等を義務付け。
※特定臨床研究とは
・医薬品医療機器等法における未承認適応外の医薬畠等の臨床研究
・製薬企業等から資金提供を受けて実施される当該製薬企業等の医薬品等の臨床研究
②特定臨床研究を実施する者に対して、実施計画による実施の適否等について、厚生労働大臣の認定を受けた認定臨床研究審査委員会の意見を聴いた上で、厚生労働大臣に提出することを義務付け。
③特定臨床研究以外の臨床研究を実施する者に対して、①の実施基準等の遵守及び①の認定臨床研究審査委員会への意見聴取に努めることを義務付け。
(2)重篤な疾病等が発生した場合の報告
特定臨床研究を実施する者に対して、特定臨床研究に起因すると疑われる疾病等が発生した場合、認定臨床研究審査委員会に報告して意見を聴くとともに、厚生労働大臣にも報告することを義務付け。
(3)実施基準違反に対する指導・監督
①厚生労働大臣は改善命令を行い、これに従わない場合には特定臨床研究の停止等を命じることができる。
①厚生労働大臣は、保健衛生上の危害の発生・拡大防止のために必要な場合には、改善命令を経ることなく特定臨床研究の停止等を命じることができる。
2. 製薬企業等の講ずべき措置
①製薬企業等に対して、当該製薬企業等の医薬品等の臨床研究に対して資金を提供する際の契約の締結を義務付け。
②製薬企業等に対して、当該製薬企業等の医薬品等の臨床研究に関する資金提供の情報等の公表を義務付け。

とされており、本法実施におけるCOBRA trialに関する問題点は、「本試験が特定臨床研究にあたるか」であると当研究会は考え、これについて下記に当研究会の見解を下記に示します。

本研究に対しては、研究会への企業からの資金提供はありますが、同列に日本消化器内視鏡学会や日本消化器内視鏡財団からの資金提供および各会員の会費もあり研究への直接の資金提供はありません。
また、すでに保険収載されている機器の研究であり、適応外使用の研究でもありません。大腸ステントの指定もないため「医療機器の性能の評価を伴わない手術や手技に関する臨床研究」に該当し、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」が対象となる研究であると判断しております(下図参照)。本判断に関しましては、2018年5月10日開催されました第13回大腸ステント安全手技研究会の運営委員会・世話人会でも承認されております。

医薬品等の臨床研究 手術・手技
の臨床研究
観察研究
治験
(承認申請目的の
医薬品等の臨床試験)
特定臨床研究
未承認・適用外の
医薬品等の臨床研究
製薬企業等から資金提供を
受けた医薬品等の臨床研究
医薬品医療機器等法
(GCP省令)
臨床研究法 人を対象とする
医学系研究に関する倫理指針
実施基準遵守義務 実施基準遵守義務
(努力義務)
厚生労働省普及促進資材 リーフレット(2018年3月28日掲載)より引用

【参考】厚生労働省ホームページ 臨床研究法について