JLL大腸用ステント“JENTLLY(ジェントリー)”多施設共同前向き安全性観察研究 研究計画書

JLL大腸用ステント 多施設共同前向き安全性観察研究 研究計画書 PDF形式 437Kバイト JLL研究計画書.pdf
WORD形式 40Kバイト JLL研究計画書.docx


1. 研究の名称
JLL大腸用ステント“JENTLLY(ジェントリー)”多施設共同前向き安全性観察研究
2. 研究の実施体制(研究機関の名称及び研究者等の氏名を含む。)
本研究は以下の体制で実施する。
【研究代表者/当院における研究責任者】
順天堂大学医学部附属順天堂医院消化器内科・教授  伊佐山浩通

【研究分担者】
順天堂大学医学部附属順天堂医院消化器内科・先任准教授坂本直人
順天堂大学医学部附属順天堂医院消化器内科・准教授立之英明
順天堂大学医学部附属順天堂医院消化器内科・准教授上山浩也
順天堂大学医学部附属順天堂医院消化器内科・助教村上敬
順天堂大学医学部附属順天堂医院消化器内科・助教泉健太郎
順天堂大学医学部附属順天堂医院消化器内科・助教福嶋浩史

【個人情報管理責任者】
順天堂大学医学部附属順天堂医院消化器内科 氏名  立之英明

【連絡先】
〒113-8431東京都文京区本郷3-1-3  順天堂大学医学部附属順天堂医院
消化器内科    03-3813-3111(内線3305、PHS 70229)

【研究参加施設と研究責任者】
東邦大学医療センター大橋病院 消化器外科斉田 芳久
呉医療センター・中国がんセンター 消化器科桑井 寿雄
横浜新緑総合病院 外科齊藤 修治
東京大学 医学部附属病院 消化器内科吉田 俊太郎
名古屋第二赤十字病院 消化器内科山田 智則
順天堂練馬病院森本崇
順天堂浦安病院長田太郎

3. 研究の目的及び意義
今回、本前向きの安全性確認の研究を通して、悪性結腸直腸閉塞の治療における大腸用ステントの臨床使用経験を蓄積し、その有効性と安全性の評価を行う。全国的な大腸ステントの安全な手技の啓蒙を目指す事は、本邦の大腸悪性狭窄患者のQOLの向上だけでなく、世界への安全性情報の発信として意義は大きい。

4. 研究の方法及び期間
(1) 研究実施期間:承認日~西暦2022年10月31日
(2) 研究の種類・デザイン
多施設共同前向き研究・本観察研究は順天堂大学医学部附属順天堂医 院消化器内科を主任研究施設とする多施設共同前向き安全性観察研究であり、関連病院は分担施設となる。前向きな症例集積であり、安全性や有効性を評価するために一定の患者選択基準は設けるが、留置方法などについて規定するものではない。当院を含め、全国の病院から200症例のデータを蓄積することを目標とする。研究期間は、承認日から 2022年10月31日までとする。なお、当院では年間4症例を想定し、研究期間中に20症例を予定している。
個人情報が漏出することのないよう、患者個人を特定できないようにコード化した後に、WEBに入力する。
(3) 研究の方法
本研究で使用する大腸用ステントは、日本ライフライン社製 JLL大腸用ステント(JENTLLY)である(以下、本品)。これは2つの構成部品、すなわち留置用金属ステントとデリバリーシステムから成る。留置用金属ステントは、形状記憶合金かつ超弾性合金であるナイチノール製のワイヤでできており、これを網目状のチューブ型に編み上げ、フレキシブルな自己拡張型ステントとして形成されている。デリバリーシステムは、一部同軸チューブで構成されている。外筒チューブは、展開までステントを収納する役目を果たす。内筒チューブは、中央に0.035インチまでのガイドワイヤを通すルーメンがある。外筒の外径は9Frもしくは10Frであり、内視鏡のワーキングチャンネル(最小チャンネル径:外筒の外径10Frに対して3.7 mm、9Frに対して3.2mm)を通して挿入することができる。デリバリーシステムには、ステントの正確な留置を助けるため、放射線不透過性マーカが3箇所に取り付けられている。先端側のマーカは、ステントの先端位置を示すものである。中間のマーカは、ステントが留置された際の中央位置を示しており、狭窄部に対してステントを正確に留置するために役立つ。手元側のマーカは、ステントがいっぱいまで拡張したときのその追従端のおおよその最終位置を示してしている。本品はMRIとともに使用しても安全である。3テスラ以下のMRI環境にある患者に対して磁力による牽引力、トルクおよび熱による追加的なリスクはない。MRI画像で観察したい部位がステントの留置位置と同一である場合は、アーチファクトにより画質が低下するおそれがあるため、撮影条件の調整が必要である。本品は、高温多湿、直射日光及び水濡れを避けて保管する。本品は、エチレンオキサイドガス処理によって滅菌された状態で供給される。本品は単回使用であり(Single use only)、再滅菌は許可されていない。

5. 研究対象者の選定方針
(1) 対象患者
大腸閉塞に対して大腸ステント留置を診療上必要と判断された症例で、適応基準は製品の使用説明に従う。

(2) 選択基準
悪性新生物によって生じた結腸直腸閉塞の術前処置BTSおよび緩和治療を必要とする患者。
大腸用ステント留置術を受けたことのない患者。

(3) 除外基準
以下のいずれかを認める患者は登録できない。
 腸虚血
 穿孔の疑いまたは切迫
 腹腔内膿瘍/穿孔
 内視鏡手技を適用できない患者
 使用(登録)適応の項の具体的記述に該当しない使用法
 患者が登録に同意しない場合
大腸用ステントがすでに留置されている患者は、本レジストリのデータベースに登録される資格がない。
大腸用ステントは取扱説明書に従って使用する。

(4) 中止基準
① 被験者から研究参加の辞退の申し出があった場合
② 本研究全体が中止された場合
③ その他の理由により、研究責任者および研究分担者が研究の中止が適当と判断した場合

6. 研究の科学的合理性の根拠
(1) 目標症例数とその設定根拠
200例
【設定根拠】
探索的研究であり、先行する研究のデータが不十分であるため研究期間内での実施可能数を200例とした。
(2) 統計解析方法
 主要評価項目:大腸用ステントの臨床的有効性
 大腸閉塞解除に関する臨床的成功率:臨床的成功症例数/登録数
 副次的評価項目:技術的成功率および有害事象発生率
 技術的成功率:ステント留置成功症例数/ステント留置施行数
 観察期間中の閉塞率および閉塞原因
 有害事象発生率
 BTSにおける手術への影響(術後合併症発生率、入院期間)
 生存期間
 その他の評価項目
 主症状
 患者および腫瘍の特性
 留置したステントの種類、および手技ごとのステント数
上記についてカイ2乗検定やT検定、多変量解析などの統計的分析を行う。

7. 新倫理指針第 12 の規定によるインフォームド・コンセントを受ける手続等
病院倫理委員会で承認の得られた同意説明文書を研究対象者に渡し、文書および口頭による十分な説明を行い、研究対象者の自由意思による同意を文書で取得する。研究対象者の同意に影響を及ぼす情報が得られたときや、研究対象者の同意に影響を及ぼすような研究計画書等の変更が行われるときは、速やかに研究対象者に情報提供し、研究に参加するか否かについて研究対象者の意思を予め確認するとともに、事前に病院倫理委員会の承認を得て同意説明文書等の改訂を行い、研究対象者の再同意を得ることとする。
同意説明文書には、以下の内容を含むものとする。
研究の名称及び当該研究の実施について研究機関の長(病院長)の許可を受けている旨
研究機関の名称及び研究責任者の氏名(他の研究機関と共同して研究を実施する場合には、共同研究機関の名称及び共同研究機関の研究責任者の氏名を含む。)
研究の目的及び意義
研究の方法(研究対象者から取得された試料・情報の利用目的を含む。)及び期間
研究対象者として選定された理由
研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益
研究が実施又は継続されることに同意した場合であっても随時これを撤回できる旨(研究対象者等からの撤回の内容に従った措置を講じることが困難となる場合があるときは、その旨及びその理由)
研究が実施又は継続されることに同意しないこと又は同意を撤回することによって研究対象者等が不利益な扱いを受けない旨
研究に関する情報公開の方法
研究対象者等の求めに応じて、他の研究対象者等の個人情報等の保護及び当該研究の独創性の確保に支障がない範囲内で研究計画書及び研究の方法に関する資料を入手又は閲覧できる旨並びにその入手又は閲覧の方法
個人情報等の取扱い(匿名化する場合にはその方法、匿名加工情報又は非識別加工情報を作成する場合にはその旨を含む。)
試料・情報の保管及び廃棄の方法
研究の資金源等、研究機関の研究に係る利益相反及び個人の収益等、研究者等の研究に係る利益相反に関する状況
研究対象者等及びその関係者からの相談等への対応
研究対象者等に経済的負担又は謝礼がある場合には、その旨及びその内容
通常の診療を超える医療行為を伴う研究の場合には、他の治療方法等に関する事項
通常の診療を超える医療行為を伴う研究の場合には、研究対象者への研究実施後における医療の提供に関する対応
研究の実施に伴い、研究対象者の健康、子孫に受け継がれ得る遺伝的特徴等に関する重要な知見が得られる可能性がある場合には、研究対象者に係る研究結果(偶発的所見を含む。)の取扱い
侵襲を伴う研究の場合には、当該研究によって生じた健康被害に関する補償の有無及びその内容
研究対象者から取得された試料・情報について、研究対象者等から同意を受ける時点では特定されない将来の研究のために用いられる可能性又は他の研究機関に提供する可能性がある場合には、その旨と同意を受ける時点において想定される内容
侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うものの場合には、研究対象者の秘密が保全されることを前提として、モニタリングに従事する者及び監査に従事する者並びに病院倫理委員会が、必要な範囲内において当該研究対象者に関する試料・情報を閲覧する旨

8. 個人情報等の取扱い(匿名化する場合にはその方法を含む。)
被験者の秘密保護に十分配慮する。患者の情報・データは、解析する前に氏名・住所・生年月日を削り、代わりに新しく符号をつけ、個人が特定できないようにした上で、専門のデータセンター*で厳重に保管する。
* 株式会社NTT PCコミュニケーションズ(東京都千代田区神田神保町3-25 住友神保町ビル)のデータセンター内に設置されたサーバーで、株式会社ファースト(東京都渋谷区代々木2-10-4 新宿辻ビル5階)が管理する。患者の個人を特定する情報は外部に出さないようにする。
この研究で得られた成績は、医学雑誌などに公表することがあるが、名前などの個人を特定できないよう配慮する。また、この研究で得られたデータが、本研究の目的以外に使用されることはない。

9. 研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益、これらの総合的評価並びに当該負担及びリスクを最小化する対策
(1) 予想される利益
本研究へ参加することによる被験者に直接の利益は生じない。研究成果により将来の医療の進歩に貢献できる可能性がある。

(2) 予想される不利益(副作用)
本研究は観察研究であるため、大腸ステント留置を診療上必要と判断された症例を対象としているため、本研究における不利益は特に想定していないが、通常ステント留置術後の副作用としては、緩和治療目的の場合には長期の観察で1割程度の再閉塞、1割程度の逸脱、4%程度の穿孔率が報告されている。

10. 試料・情報(研究に用いられる情報に係る資料を含む。)の保管及び廃棄の方法
研究責任者は、研究等の実施に係わる重要な文書(申請書類の控え、病院長からの通知文書、各種申請書・報告書の控、被験者識別コードリスト、同意書)、症例報告書等の控、その他データの信頼性を保証するのに必要な書類または記録等)の保管については、「人を対象とする医学系研究に係る試料及び情報等の保管に関する標準業務手順書」に従って行い、研究の中止または終了後5年が経過した日までの間順天堂大学医学部消化器内科の医局にて保存し、その後は個人情報に注意して廃棄する。

11. 研究機関の長(病院長)への報告内容及び方法
研究機関の長(病院長)への報告については下記の通りとする。
(1) 年1回、研究実施状況について様式第7号により報告し、研究継続の適否について病院倫理委員会の 審査を受ける。
(2)申請時審査に用いた書類に変更が生じる場合には、事前に病院長に様式第8号により申請し、あらか じめ病院倫理委員会の承認を受ける。
(3)研究の終了時(中止または中断の場合を含む)には、様式第11号により、病院長に報告する。

12. 研究の資金源等、研究機関の研究に係る利益相反及び個人の収益等、研究者等の 研究に係る利益相反に関する状況
本研究は、本研究の主たる資金源は、大腸ステント安全手技研究会の研究費であり、その研究費は、日本消化器内視鏡学会からの補助金、各個人会員および賛助会員からの年会費、研究に賛同した企業からの研究寄付金である。この研究の研究責任者および研究者は、「順天堂大学利益相反マネジメント規程」および「人を対象とする医学系研究に係る利益相反に関する標準業務手順書」に従って、順天堂医院医学系研究利益相反マネジメント委員会に必要事項を申請し、その審査を受けている。
13. 研究に関する情報公開の方法
結果については、研究代表者の立之英明により、国内外の学会で公表する予定である。

14. 研究対象者等及びその関係者からの相談等への対応
研究対象者等及びその関係者からの相談については、下記相談窓口にて対応する。
【相談窓口】
研究責任者 消化器内科 氏名 立之英明
〒113-8431東京都文京区本郷3-1-3  順天堂大学医学部附属順天堂医院
消化器内科    03-3813-3111(内線3305. PHS 70229)

15. 研究対象者等に経済的負担又は謝礼がある場合には、その旨及びその内容
研究対象者などに経済的負担が生じることはない。また謝礼もない。

16. 侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究の場合には、重篤な有害事象が発生した際の対応
穿孔などを生じた場合は、速やかに外科に連絡し緊急手術ができる体制を整える。
手術適応が無い場合は絶食、抗生剤投与など保存的加療を行う。

17. 侵襲を伴う研究の場合には、当該研究によって生じた健康被害に対する補償の有無及びその内容
通常の診療における健康被害に対する治療と同様に適切な対応をする。ただし、通常の治療と同様に保険診療として治療するため、治療費に関しては自己負担となる。なお、この研究では、見舞い金や各種手当てなど、健康被害に対して特別な経済的補償は準備していない。

18. 通常の診療を超える医療行為を伴う研究の場合には、研究対象者への研究実施後における医療の提供に関する対応
通常の診療を超える医療行為を伴う研究ではない。

19. 研究の実施に伴い、研究対象者の健康、子孫に受け継がれ得る遺伝的特徴等に関する重要な知見が得られる可能性がある場合には、研究対象者に係る研究結果(偶発的所見を含む。)の取扱い
可能性がない。

20. 研究に関する業務の一部を委託する場合には、当該業務内容及び委託先の監督方法
本研究で使用するデータセンターは下記の通りである。同データセンターは厳重なセキュリティーを行なっており、個人情報保護に十分留意している。今までにいくつかの多施設臨床試験で使用しており、運用や個人情報保護の観点から問題ないと考えられる。

株式会社NTT PCコミュニケーションズ(東京都千代田区神田神保町3-25 住友神保町ビル)のサーバー内にデータセンターを作成。Web上でアクセス可能である。上記サーバー、およびデータベースの管理は株式会社ファースト(東京都渋谷区代々木2-10-4 新宿辻ビル5階・TEL 03-5332-6644・担当者 高橋 雄一)が行う。

21. 研究対象者から取得された試料・情報について、研究対象者等から同意を受ける時点では特定されない将来の研究のために用いられる可能性又は他の研究機関に提供する可能性がある場合には、その旨と同意を受ける時点において想定される内容
可能性がない。

22. 新倫理指針第 20 の規定によるモニタリング及び監査を実施する場合には、その実施体制及び実施手順
【モニタリング実施について】
自主モニタリングを開始時、変更時、終了時および年1回以上実施する。
自主モニター:所属・職位・氏名
【監査実施について】
院内監査を必要に応じて実施する。
モニタリングおよび監査実施にあたっては、「人を対象とする医学系研究に係るモニタリング・監査の実施に関する手順書」(臨床研究支援センター)に従って実施する。

23. 参考文献リスト
該当なし。